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掲載順位3.9位、CTR 0.03%。表示回数の46%は生成AI機能の中にありました

公開日:2026年09月24日 更新日:2026年09月20日

自社サイトの Search Console を見ていて、説明のつかない数字がありました。

あるページが掲載順位3.9位、90日で84,023表示。それに対してクリックが25件です。CTRにすると0.03%。表示1万回につきクリック3回という水準です。

順位が低いなら分かります。表示が少ないなら分かります。そのどちらでもない。上位に表示されていて、大量に表示されていて、それでもクリックされていない。

原因を調べた結果、ページの品質でも、タイトルの付け方でもありませんでした。表示が起きている場所でした。この記事は、それをどうやって確かめたかと、確かめた結果を受けて自社サイトの方針をどう変えたかの記録です。

前提:表示回数という指標が、これまで何を表していたか

本題に入る前に、前提を揃えさせてください。

Search Console の「表示回数」は、検索結果にサイトへのリンクが表示された回数です。この指標が長く使われてきたのは、表示回数が機会の総量を表していたからです。検索結果の一覧にリンクが出ている。ユーザーはそれを見て、クリックするかしないかを決める。だから「表示回数 × CTR = クリック数」という式が成り立ち、表示回数が増えることは機会が増えることと同じ意味を持ちました。

掲載順位が重視されてきたのも同じ理屈です。上位に出れば目に入りやすく、目に入ればクリックされやすい。順位 → 視認 → クリックという因果が、素直につながっていました。

この前提が、検索結果にAIによる要約が入ったことで崩れます。リンクが表示されていても、それが要約の中の参照としてであれば、ユーザーは要約を読んだ時点で用が足りることがあります。表示されたのにクリックの機会が発生しないという状態が生まれます。

「表示回数が増えた」が良い知らせだとは限らなくなった、というのが本記事の主題です。

何が起きていたか

当社サイト(assignment.co.jp)の直近90日の数字です。

指標値
クリック数94
表示回数107,000
平均CTR0.1%
平均掲載順位6.9

平均掲載順位6.9でCTR 0.1%。この2つが並ぶこと自体が異常です。しかし平均値を見ているかぎり、どこが異常なのかは分かりません。

内訳を取ると、49,500表示(46.3%)が生成AI機能の中での表示でした。従来の検索結果の一覧に並んだのではなく、AIによる要約の中に引用・参照として出ていた分です。

サイトの表示回数のうち半分近くが、これまで前提にしていた「検索結果の一覧に並ぶ」という形をとっていなかったことになります。

生成AI機能レポート — 何が取れて、何が取れないか

この内訳は Search Console から取れます。「検索パフォーマンス」を開くと、グラフの下に「Google 検索の生成 AI 機能におけるサイトのパフォーマンスに関する詳細情報を確認できます」という案内が出ています。ここの「レポートを開く」から入ります。

使う前に、このレポートの制約を知っておく必要があります。

現時点ではベータ版で、取得できるのは表示回数のみです。クリック数とCTRの内訳は出ません。つまり「生成AI機能の中で何回表示されたか」は分かりますが、「そのうち何回クリックされたか」は分かりません。

これは分析上、無視できない制約です。本記事で「AI機能の中の表示はクリックされにくい」と言えるのは、AI機能内のクリック数を直接測ったからではありません。AI機能内の表示が多いページで、全体のCTRが極端に低いという対応関係を見ているだけです。因果の向きまでは、このレポートだけでは確定できません。

一方で、ページ別・クエリ別・国別・デバイス別の内訳は見られます。どのページがどれだけAI機能の中で表示されているかが分かるだけで、判断はかなり変わります。

なぜ要約の中の表示は、クリックにつながりにくいのか

構造で考えると、説明は単純です。

検索は、問いを解消するために行われます。従来の検索結果は、問いの答えそのものではなく、答えがありそうなページへのリンクの一覧でした。だからユーザーはクリックする必要がありました。クリックは、答えにたどり着くための必須の一手でした。

AIによる要約は、この一手を不要にします。要約が問いに答えていれば、ユーザーはそこで検索を終えます。リンクは表示されていますが、それは出典の提示であって、次の行き先の提案ではありません。出典を確認する動機のある人だけがクリックします。

したがって、クリックが起きるかどうかは、要約で問いが解消されたかどうかに依存します。要約で足りる問いならクリックは起きず、足りない問いなら起きる。ページの品質や順位ではなく、問いの性質が効くという構造です。

なぜ用語解説ページが最も影響を受けるのか

ここまでの構造を踏まえると、どういうページが影響を受けやすいかも見えてきます。

答えが短く、一意に定まる問いです。「◯◯とは」という形の検索がその典型で、答えは数十字で済み、書き手によって内容も変わりません。要約で完結させるのに最も適した問いです。

逆に影響を受けにくいのは、答えが長い、あるいは前提によって変わる問いです。「自社の場合どう判断すべきか」「どこから手を付けるか」といった問いは、要約が一つの答えを提示しても、読み手は自分の状況に当てはめる必要があります。詳細を見に行く動機が残ります。

当社サイトで最も表示回数の多いページは /word/デプロイ/ という用語解説でした。「デプロイとは」という検索に対する解説です。構造上、最も要約に取り込まれやすい種類のページが、最も多くの表示を生んでいたことになります。

1ページが95%を占めていた

表示回数の内訳。全表示107,000のうち生成AI機能内が49,500(46.3%)、さらにその95%が /word/デプロイ/ 1ページ

ページ別に落とすと、偏りは予想以上でした。

ページ全表示AI機能内AI内比率クリックCTR
/word/デプロイ/84,02347,03256.0%250.03%
トップページ4,7452565.4%170.36%
/word/カニバリゼーション/3,16752716.6%20.06%
/word/アウトリーチ/2,71088632.7%160.59%
/word/ファネル/1,8751739.2%60.32%
/word/kpi/38321957.2%51.31%

サイト全体の生成AI機能内表示49,500のうち、47,032、つまり95%が「デプロイ」1ページで起きていました。冒頭の、掲載順位3.9位でCTR 0.03%のページです。

ここで重要なのは、サイト全体の平均値からはこの構造が全く見えないという点です。平均CTR 0.1%、平均掲載順位6.9という数字は、この1ページに引きずられた結果であって、サイトの実態を表していません。他の21ページがどうであろうと、平均はこのページの数字になります。

偏りのあるサイトで平均値を見ると、最も大きいものの数字を見ているだけになります。当社のように総クリックが90日で94件という規模では、これは深刻です。

「掲載順位3位ならCTRは数%」という通説を、ここでは使いません

CTR 0.03%が異常だと言うためには、比較対象が要ります。一般には「掲載順位3位前後のCTRは数%」という目安が知られており、それと比べれば二桁違う、という書き方ができます。

ただし本記事ではこの比較を使いません。理由は、その数値の出典を当社が持っていないからです。業種・クエリの種類・検索意図によって水準は大きく変わりますし、出所の確かめられない目安を根拠にすると、この記事全体の信頼性が落ちます。

代わりに、同じサイトの中での比較を根拠にします。上の表で /word/kpi/ はCTR 1.31%、/profile/(記事中の表には出していませんが)は1.44%です。同じサイト、同じ計測、同じ期間で、40倍以上の開きがあります。この比較なら出典は一つで、条件も揃っています。

外部の平均値を持ち込まなくても、自分のサイトの中に比較対象があれば異常は検出できます。

単純な相関ではありません

ここまで読むと「AI機能内の比率が高いほどCTRが下がる」とまとめたくなります。実際、表の上から4行はそう読めます。

ですが最終行を見てください。/word/kpi/ は AI内比率57.2%でCTR 1.31%です。デプロイ(56.0%)とほぼ同じ比率でありながら、CTRは44倍あります。

この反例をどう扱うかで、記事の結論の確からしさが変わります。落として「きれいな相関がある」と書くこともできますが、それは事実ではありません。

6ページで相関を語れない理由は2つあります。

第一に母数です。kpi は表示回数383、クリック5件です。クリックが1件増減するだけでCTRは0.26ポイント動きます。デプロイの84,023表示・25クリックとは統計的な安定度が違いすぎて、同じ精度の数字として並べられません。

第二に選択バイアスです。この6ページは「表示回数が多い順」に選んだものです。AI内比率の高低で選んだわけではないので、比率とCTRの関係を見るための標本になっていません。

したがって、この記事で言えるのはここまでです。

  • 表示回数の半分近くが、生成AI機能の中で起きている
  • その大半が1ページに集中している
  • そのページは、同じサイトの他ページと比べてCTRが二桁低い
  • AI内比率とCTRの関係は、この標本では確定できない

比率とCTRの関係については、自分のサイトで、自分の母数で確かめるしかありません。他社の平均値を当てはめても判断材料にはならない領域です。

なぜこのページが存在したのか — そして何を変えたか

背景を説明しておくと、当社の用語集は性格が途中で変わっています。

作り始めた2022年の7語は、ヘッダー・静的サイト・デプロイ・SaaS・ASPなど、5語がIT一般用語でした。Webサイト制作の副産物として、説明の必要があった語を置いたものです。一方、2024年に追加した8語は、MQL・SQL・名寄せ・ABM・CLV/LTV・MA・ファネル・ナーチャリングと、全語がマーケティング・営業の語彙です。

つまり最も表示回数を生んでいるページは、事業の方向が固まる前に書かれたものでした。放置しているうちに、当社が売っているものと無関係な語が、サイトの顔になっていたということになります。

この数字を受けて、3つ変えました。

表示回数をKPIから外しました。10.7万という総表示のうち8.4万が、当社が売っているものと関係のないIT用語のページです。この指標を追うと、事業と最も無関係なページが最も優秀に見えます。指標が施策の優先順位を誤らせる状態だったので、外しました。

用語集を事業領域との関係で分類しました。27語を「マーケ・営業に直結」「AI・LLMO」「IT一般用語」に分け、事業と無関係かつ実績のない6語を削除しました。削除で失った表示は553、クリックは2件です。分類してみると、既に16語がマーケ・営業語彙、3語がAI関連で、事業と無関係なのは7語だけでした。全面的な作り替えが必要だと思っていたものが、実際には6語の削除で済みました。

その上で、デプロイのページは残しました。事業には結びついていません。しかし、掲載順位3.9位でCTR 0.03%という状態を自社で継続して観測できるページは他にありません。生成AI機能が用語解説クエリをどう扱うかが今後どう変わるかを見るための、定点観測の対象として使います。事業価値ではなく、観測価値で残すという判断です。

同じことが起きるサイトの条件

当社は90日で94クリックという小さなサイトです。この規模の話がそのまま当てはまるとは限らないので、条件を整理しておきます。

影響が出やすいのは、「◯◯とは」型のクエリで表示を集めているサイトです。用語集、FAQ、基礎解説記事などがこれにあたります。答えが短く一意に定まるほど、要約で完結します。

逆に、比較・選定・判断を扱うページや、自社固有の事例・データを含むページは、要約だけでは代替されにくい構造です。

そしてサイトの規模に関係なく起きるのが、平均値が特定ページに引きずられる問題です。表示回数の分布が偏っているサイトでは、サイト全体の平均CTRや平均掲載順位はほとんど情報を持ちません。これは規模の大小ではなく分布の問題なので、大きなサイトでも同じことが起こります。

明日からできること

  1. Search Console の「検索パフォーマンス」から、生成AI機能レポートを開く
  2. ページ別に落とし、AI機能内の表示回数が多い順に並べる
  3. 通常のページ別レポートと突き合わせ、各ページの「AI機能内の比率」と「CTR」を並べる
  4. 掲載順位が高いのにCTRが低いページを見つけたら、そのクエリがAI要約で完結してしまうかを考える

4が肝心です。要約で完結する問いに対しては、順位を上げてもクリックは戻りません。順位改善に工数を投じる前に、そもそも順位が効く問いなのかを確かめる、という順番になります。

取りに行くべきなのは、要約では答えきれない問いです。判断の分かれるところ、前提条件によって答えが変わるところ。当社サイトでいえば、8.4万表示を生んでいる「デプロイとは」ではなく、90日で44表示しかない「デジタルマーケティング 依頼」のほうが、事業にとっては重要だということになります。

表示回数で見れば1,900倍の差がありますが、事業で見れば逆です。

出典

記述出典期間
クリック94/表示107,000/平均CTR 0.1%/平均掲載順位6.9Google Search Console(assignment.co.jp)2026-06-18〜09-17
生成AI機能内 49,500表示Search Console 生成AI機能レポート(ベータ版)同上
ページ別の全表示・クリック・CTRSearch Console ページ別レポート同上
ページ別のAI機能内表示Search Console 生成AI機能レポート ページ別同上
用語集の年別の内訳(2022年7語/2024年8語)assignment.co.jp のサイトマップ(投稿タイプ word)2026-09-20 取得
用語集27語・削除6語・失った表示553/クリック2自社の棚卸し記録2026-09-20 時点
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